こんにちは。
かけるうちに書いてしまおうと言うことでどんどん記事を出していきます。
さて、今回のテーマは5レーン理論です。5レーン理論とはピッチを縦に4本の線で区切ることです。そうすることで攻守の原則(特に攻撃)をおとしやすくしています。 こんな感じです。ゴールエリアとペナルティエリアの縦線を伸ばして反対コートとつなげています。
最近はこれを試合の分析とかに使っていることが多いですが、実際の試合ではこの理論だと甘いなと思っています。なぜなら5レーン理論は試合のための理論ではないからです。
以前読んだ「ペップグアルディオラ 君に全てを語ろう」と言う本に書いてあった内容によると、レーン理論はペップが練習のために考え出したものです。それを作った理由は多国籍軍団であるバイエルンを率いていたからです。1つの言語ではペップ自身のアイデアを20人以上のプレーヤーに落とすことはできないバイエルン。なるべく言語を使わずに伝えるためのツールとして練習に組み込んだのです。
なぜバルサの時に思いつかなかったのか。それはスペイン語である程度通じるからです。当時はバルデスやプジョル、ピケ、イニエスタ、ビジャなどなどスペイン人が多く、スペイン人でないメッシなどラマシアの選手もスペイン語は理解できたことでしょう。
つまり、5レーン理論をやらなくとも言葉でペップのアイデアは伝えることができていたのです。こう考えると、試合に直接関わるものとして使われる5レーン理論に対する評価は変わってくると思います。
では、ペップが伝えたかったことはなんでしょうか。これは先ほどの本と結城康平さんの「ポジショナルプレーの全て」と言う本によると、パスを繋ぎやすくするための選手たちのポジショニングを適切にすることです。ペップはパスのためのポジショニングとして三角形を重視していました。三角形だとパスコースが2つ確保されることやボールの軌道が斜めになることなどの利点が挙げられます。また、三角形だと奪われた時にプレスをかけやすいと言う利点もあります。レーンを目安にポジションを取ることで三角形を作りやすくしています。この三角形はバルサのカンテラの選手たちは無意識に作っていることなのでペップが言う必要がなかったのかもしれません。
他にも用途はあると思いますが、ポジショニングのためのツールであることに変わりはありません。だから、5レーン理論を試合に直接関わるように使うのは道具の使い方ミスであるように感じます。
5レーン理論で試合を分析する時に使われる言葉はハーフスペースでしょう。ハーフスペースとは先ほどの画像だと黄色の部分です。しかし、僕は試合をピッチ中心に考えることに抵抗を覚えます。もちろんピッチは大切ですが、それと同じようにボールの位置や味方の位置、相手の位置も大切です。5レーン理論ではこれらを省いてしまいます。だからサッカーの事象を説明しきれなくなるのです。
僕は試合を分析する時にレーンはあっていいと思います。その方が分析しやすいし現象を理解しやすいと思うからです。だけどそのレーンは流動的であるべきだと考えます。攻撃の時は人に合わせて、特に相手に合わせて自分のプレーを決めるからです。例えば、ハーフスペースを狙うこととは相手のセンターバックとサイドバックの間を狙うことだと考えています。そもそも、ハーフスペースはこのゾーンのことを指しています。こうして試合中に作られる流動的なレーンをチーム全体で共有することで、臨機応変な対応をできるし、ベストなタイミングで作戦を実行できます。
最近では当たり前のように使われる5レーン理論ですが、その理由なども考えずに使うと、うまくいかないことがあった時に対応に困るのではないかと思います。
タコツボ型とササラ型を唱えた政治学者の丸山眞男みたいなことを言って終わりにします。今のところ日本で考えたアイデアが世界中で使われることはあまりありません。外国から入ってくることがほとんどです。その時に背景知識を知ろうとしなかったり、自分で考えなかったりするとただ新しい言葉を覚えているだけになります。外発的だとたこつぼのように横のつながりがなくなって薄いアイデアになってしまいます。これではいつまで経っても外国を追い越すことはできません。日本が強くなるためには、内発的にアイデアを出そうと試みなければなりません。つまりササラのような根本を作らないといけない。アイデアを輸入しつつも新しくて使えるアイデアを作ろうとする努力をすることが大切だと思います。
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